数量の認知 ①
数的思考には「数量の認知」が不可欠です。それは「比べる」ということです。「比べる」ことによって対象となるものが「同じもの」なのか「違うもの」なのか。もし「同じもの」であるならば、それは何をもって「同じもの」としているか、また、それらが「等しいもの」とは言えないか。
それに対して、「違うもの」であるならば、それは何がどのようにどれぐらい違っているのかといったように捉えるということです。それは「大小関係」であると言いかえてもよいでしょう。
思い出すこと
大学では経済学を学んでいました。教養科目の基礎数学では、自然数の公理から離散数学を中心に学びました。神戸文夫先生から学びました。
ある時、使用しているテキストの定理の内容が理解できず、「このテキストよりも優しい本はありませんか」と講義後に尋ねたところ、「このテキストほど優しいものはないよ」と返答されました。
学生としての学びの中ではこれ以下の教材は必要ないという意味で話されたのかもしれません。しかし、私はそのようには認識できませんでしたので、優しい内容のものはないかと、四方八方探しては見つけ、見当違いとなればまた探すというサイクルを繰り返すようになりました。図書館へのこもり、古本屋で立ち読み、購入、積読と、塾や模試監督でのアルバイト代は、古本代になりました。
そういった中で見つけた本の中でも、遠山啓著『数学の学び方・教え方』(岩波新書)は示唆に富んだ内容でした。一般向けの読み物が多く、教育の一つのあるべき姿を示す作品が多く、数学教育の思想のパイオニアではないかと思っています。数への認識が180度変わるくらいの影響を受けたのでした。
算数の現行学習指導要領解説とは
国立、公立、私立の教員を目指す人たちにとって、子供たちに何を学ばせるのかということの認識は必須です。また、現在、教員である人たちにとっては、今まさに目の前にいる子供たちに何を学びとらせるのかということの認識は当然のことです。公費で支えられている教育を担う者は、教育に関する法令を遵守し、職務を行うわけです。特に、教科指導においる指針としては、現行の学習指導要領が挙げられます。
そこには、学習の目標とそのより具体的な説明、そして、指導上の評価基準の骨格が示されています。今では、教育を学校の中だけの閉じたものとして捉えるのではなく、誰もがそれぞれの社会的責任を持って、将来の子供たちの教育を担えるように、こうした内容がネットで公表されています。今後の学びの参考にしてください。
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